デュプリケート麻雀とは
その起源
筆者の知る限り、このルールを最初に提唱したのは清藤健朗氏である。
氏は、元々“コントラクトブリッジ”(※1・以下ブリッジ)というトランプゲームを嗜んでおり、そのルールの一つである“デュプリケートブリッジ”という遊び方を麻雀に取り入れたのがデュプリケート麻雀である。
※1:コントラクトブリッジのルール
4人のプレイヤーがN−S(北・南)、E−W(東・西)の2チームに分かれ、ペアで戦います。時計まわりに1人1枚ずつカードを出し、最も強いカードを出した人が勝ちです。この1回の勝ち負けをトリックといいます。
ゲームの目的は、役を作ったり絵札を集めたりすることではなく、「トリックをたくさん取ること」。使われるカードは52枚ですから、1人ずつ13回カードを出すと手持ちカードがなくなります。この13トリックのうち、自分とパートナーが相手のペアより多くのトリックを取れば勝ち、というのが基本的なゲーム運びです。
【引用元】https://www.jcbl.or.jp/tabid/156/Default.aspx(公益財団法人 日本コントラクトブリッジ連盟 公式HPより)
ブリッジでは、配られた手札の差により生じる運の要素(麻雀でいうところの配牌)を極力減らすために同一の手札で複数のプレーヤーが対戦し、他プレーヤーとの差でスコアを評価する、という仕組みがあり、これがデュプリケートブリッジと呼ばれている。
そこで、麻雀においても同一の配牌、同一のツモ山で他人と自分のスコア(点棒の動き)を比較すれば、より運の要素を排除して実力を測れるのでは、という着想が生まれたのである。
ルールについて
先述の通り、同一の配牌、同一の山で対局を行うというのが中核であり、細則はあまり重要ではない、と筆者は考えている。
四人麻雀でも三人麻雀でも問題はないし、アリアリでもナシナシでも構わない。運要素を減らすという観点から一発や裏ドラはない方が好まれるかもしれないが、そういった要素込みで打牌を選択することができる以上、あっても構わないと思う。極端な事を言えば、リーチ麻雀でなくても、中国麻雀で行っても良いのである。
換言すると、麻雀における任意のルールで実力差を測るための対局方式である、というのがデュプリケート麻雀である、と言えよう。
なお、2023年1月に、清藤氏がこのデュプリケート方式で麻雀プロを集め対局配信を行っており、興味があればこちらのアーカイブを参照いただくとより理解が深まるのではないかと思う。
実際の対局について
同じ配牌と同じ山で勝負する、というのは簡単だが、実際の麻雀牌でそれをやるとなるとなかなか難しい。
というのも、1卓あたり136個もの牌を手動で並べ替えるというのは大変な労力であり(上の生配信では舞台裏でスタッフが一生懸命並べている)、実際の大会やリーグ戦に落とし込もうとしてもそこがネックになる。
そこで清藤氏主導で開発されたのが電子麻雀牌であり、7月19日に行われた「オールジャパン麻雀チャンピオンシップ2026」では、この牌を用いたデュプリケート麻雀体験ブースが催され、ゲストの土田浩翔プロと共に多くの来場者がこの新しい麻雀方式を楽しまれた。

☆電子牌についてはこちらの記事も要チェック!

ルールの普及とデュプリケート麻雀の今後について
日本国内ではまだ認知度の低い対局方式であるが、実は2015年にデュプリケート麻雀の世界大会が中国・海南島で開かれている。
この大会「ワールド・マージャン・スポーツ・ゲームス」は、国際麻将連盟(MIL)が主催となり麻雀のオリンピック種目化を最終目的に催されたものである。麻雀という運の要素が強いゲームがオリンピックで承認されるための一手段としてデュプリケート形式を用い、その効用を示そうというバックグラウンドがこの大会の開催を強く後押しした形だ。
しかし本大会では、朝の8時から始まった対局が深夜まで続く卓が出るなど、先述した牌山の作成コスト(時間)が課題として浮き彫りになる形となった。以来10年以上簡易にデュプリケート麻雀が行える仕組みが確立されていなかったが、電子麻雀牌の登場により、あるいは麻雀がオリンピック種目として採用される日も近づいたのかもしれない。少なくとも筆者はそうあって欲しいと願っている。