【日本プロ麻雀協会】鍛冶田良一新代表インタビュー 歩み続けた25年、その先へ―

【日本プロ麻雀協会】鍛冶田良一新代表インタビュー 歩み続けた25年、その先へ―

日本プロ麻雀協会の強みとこれからの挑戦

2026年3月13日(金)、日本プロ麻雀協会の鍛冶田良一氏が五十嵐毅氏に代わり団体代表理事に就任することが発表された。
そんな、団体設立当初から日本プロ麻雀協会を支える鍛冶田新代表を直撃取材した。

鍛冶田良一(かじた・りょういち)
1973年4月14日生まれ。
日本プロ麻雀協会所属。
長く団体副代表を務め、2026年4月1日より代表に就任。
第4期雀王、第1期・2期雀竜位のタイトルを持つ。

会社員から麻雀プロ、そして団体代表へ――
鍛冶田新代表インタビュー

会社員を経て麻雀プロの道へ進み、入会からほどなく運営にも携わるようになった鍛冶田良一氏。組織の転換期や難しい局面を経験しながら、長年にわたって団体を支えてきた。
4月から日本プロ麻雀協会の代表に就任する鍛冶田氏に、プロ入りのきっかけから代表就任に至るまでの歩み、そしてこれから目指す団体の姿について話を聞いた。

――このたびは代表就任おめでとうございます。まずは、プロになってから現在までの歩みを教えてください。

鍛冶田:ありがとうございます。
入会したのは、大学卒業後に会社員として働いていた頃です。大学時代から麻雀には親しんでいて、周囲の友人たちが楽しそうに活動しているのを見て、自分もこの世界に入りたいと思うようになりました。
会社には3年ほど勤めていましたが、その間に「麻雀プロを本気でやってみたい」と考えるようになり、当時まだ協会はなかったので、最高位戦を受験しました。

麻雀界.WEB編集長の石神氏の質問に答える鍛冶田氏。協会設立時、最高位戦からの移籍の決断は本当に胸が苦しかったと語る。
麻雀界.WEB編集長の石神氏の質問に答える鍛冶田氏。協会設立時、最高位戦からの移籍の決断は本当に胸が苦しかったと語る。

所属している人が不安になったり、理不尽さを感じたりしないように…

――入会後、かなり早い段階で運営にも関わるようになったそうですね。

鍛冶田:そうですね。入会して1年ほど経った頃に「理事補佐の選挙に出てみないか」と声をかけてもらいました。当時は新津さんや飯田さんに可愛がっていただいていて、そのご縁が大きかったと思います。
自分としては、入って1年でそんな立場になれるわけがないと思っていましたし、受かるとも思っていませんでした。
でも背中を押していただいて、実際に出てみたら通ってしまった。そこから自然と運営にも関わるようになっていきました。

――その後、団体の大きな転換期も経験されたそうですね。

鍛冶田:土井さんが最高位戦を離れ、新しいプロ団体を立ち上げるという話がありました。その団体が現在の日本プロ麻雀協会にあたります。そのとき、自分も最高位戦に残るのか、新しい団体の立ち上げに加わるのかという難しい選択を迫られました。
結果的には移籍を選びましたが、先輩方にその決断を伝えるのは本当に苦しかったですね。特に飯田さんに「辞めます」と伝えたときのことは、今でも忘れられません。もう25年近く前のことですが、そのときの空気や表情は今でも焼き付いています。

五十嵐代表の右腕としてプロ協会を長く発展させてきた

五十嵐さんが退くと言うまで支え続けよう

――その経験が、今の運営姿勢にもつながっているのでしょうか。

鍛冶田:そう思います。当時、自分が味わったような思いはできるだけ所属選手にさせたくない。その気持ちはずっとあります。
組織というのは外から見えることだけが全てではありませんし、内部にはいろいろな事情があります。だからこそ、少なくとも所属している人たちが、必要以上に不安になったり、理不尽さを感じたりしないようにしたい。その思いは今の原点ですね。

――五十嵐前代表の体制になり、副代表として長く支えてこられました。

鍛冶田:協会設立から5年ほど経ち、土井さんが代表を退き、五十嵐さんが新代表になったタイミングで「副代表をやってくれ」と声をかけてもらいました。当時は財務的にもかなり厳しい時期で、新しい体制をどう立て直していくかが大きな課題でした。
でも、自分の中では「この人が本気で代表をやるなら、自分も支えよう」と思えたんです。実際に大きな決断をして前に立つ姿を見て、これは支えなければいけないと感じました。それ以来、「この人が自分で退くと言うまでは支えよう」と決めて、ここまでやってきた感覚があります。

――今回、代表就任に至った経緯はどのようなものだったのでしょうか。

鍛冶田:昨年や今年に急に決まった話ではなく、数年前から組織改革の話は少しずつありました。代表交代についても、どこか節目のタイミングで、という認識は五十嵐さんとも共有していました。
ただ、自分から交代を促すようなことをするつもりは一切ありませんでした。若い会員から「鍛冶田さんは代表を目指さないんですか」と聞かれたこともありましたが、五十嵐さんが自ら退くと言うまでは、自分からその話をするつもりはなかったんです。
最終的には今年の大きな会議の場で退任の話が正式に出て、その流れの中で自分の名前を挙げていただいたという形ですね。

――不安もあったのではないですか。

鍛冶田:もちろんありました。自分もこの業界に長くいますし、新しい人がやった方がいいのではないかと思ったこともあります。
ただ、実際に話を受けてから、会員や周囲の人たちと話す中で、皆が本当に団体のことを考え、愛してくれていることを強く感じたんです。「これだけ思ってくれている人たちがいるなら、自分にもまだできることがあるかもしれない」と思えた。それが引き受ける大きな理由になりました。

石神編集長が今後の展望や今の団体の課題についてなど鋭く切り込む

自分が輝ける、居場所がある、そう思える環境を…!

――あらためて、今の協会の強みはどこにあると感じていますか。

鍛冶田:一番の強みは、多様な人材が集まっていることだと思います。eスポーツに関わる人、医師、俳優、声優、弁護士、通訳など、本当にさまざまなバックグラウンドを持つ人がいます。
もちろん麻雀が好きで強いことが前提ですが、それに加えて、それぞれが自分の専門性や個性を生かせる。そういう人が増えてきたのは、団体として大きな財産です。この団体にいることで自分が輝ける、居場所がある、そう思える環境をつくっていきたいですね。

――逆に、課題はどこにありますか。

鍛冶田:嬉しい悲鳴でもあるのですが、協会は立ち上げ当初30人、40人規模だったものが、今では800人を超える団体になりました。そうなると、昔のような距離感ではいられません。コミュニケーションが取りきれていないという実感はあります。
今までも門戸は開いていたつもりで、会議に参加したければ参加していい、やりたいことがあるなら言ってきてほしい、という姿勢ではいました。
ただ、それだけでは十分ではなかった部分もあると思います。これからは、誰が誰に相談すればいいのか、どこに声を上げればいいのかを、もっと分かりやすくしたい。「いつでも言ってください」だけでは組織はうまく回らないので、より風通しのいい仕組みを作っていきたいです。

――昨今はトッププレーヤーの移籍も話題になりました。どう受け止めていますか。

鍛冶田:大前提として、新しい環境を選んで活躍すること自体を否定するべきではないと思っています。移籍が業界全体にとってプラスになることもありますし、ファンにとっても物語性のある出来事になることがあります。
ただ一方で、その選手が「魅力ある選択肢としてうちを選ばなかった」という事実があるなら、それは真摯に受け止めなければいけません。選ばれなかった理由や足りなかった部分があるなら、そこに向き合って改善していく必要があると思っています。

鍛冶田新代表が考える理想のプロ協会とは…?

麻雀に真摯に向き合いながら、魅力や楽しさも伝えられる団体でありたい

――団体の魅力を高めるうえで、何が重要になるでしょうか。

鍛冶田:一つはタイトル戦のあり方だと思います。「出たい」「取りたい」と思える大会がどれだけあるかは、団体の魅力に直結します。
数年に一度しか大きな変化がないのではなく、もっと挑戦しやすく、目標を持ちやすい場を作っていかなければいけない。その意味でも、理事や執行部のメンバーが新しい大会や仕組みづくりに動いてくれていますし、これは今後の大きなテーマの一つです。

――これからの方針としては、どのような方向を目指しますか。

鍛冶田:大きく言えば、「いろんなことに挑戦しやすい団体」でありたいですね。失敗してもいいから、まずやってみる。そういう空気をもっと作りたいと思っています。
もう一つは、地方で活動するプロたちへの支援です。地方は移動や環境の問題もあり、モチベーションを維持するのが難しい面もありますが、その土地でしっかり頑張れるような環境を整えていきたい。
また最近は、アジア圏との交流やリーチ麻雀の普及も進んでいて、そうした動きに対応できる人材が協会内にいることも強みだと感じています。

――直近では、Aリーガーのユニフォームと個人スポンサー募集という新しい試みも始まりました。

鍛冶田:これも正直、まだ手探りです。でも、何が正解か分からないからこそ、まずやってみようという考えです。
目的は、会員がより良い環境で活動できるようにすること。放送対局の機会を増やしたり、活動の場を広げたりするには、当然ながら資金が必要です。従来の会費だけでは限界があるので、別の形で支援を集め、それを環境整備や活動機会の創出に回せるなら、大きな意味があると思っています。

――今後の運営体制についても教えてください。

鍛冶田:今後は大きく「競技部門」「組織部門」「事業部門」の三本柱で考えています。
競技部門では、より魅力的なタイトル戦や競技の場をどう作るか。
組織部門では、会員が所属する価値や居心地の良さをどう高めるか。実際に実況・解説講座や託児システムなど、会員が活動しやすい環境づくりも進んでいます。
事業部門では、スポンサー獲得やメディア展開を通じて、組織を支える基盤を強くしていく。
きれいごとだけでは組織は回りませんから、何かを実現するためのお金の流れをきちんと作っていくことは、とても重要だと思っています。

―― 最後に、ファンの皆さんへのメッセージをお願いします。

鍛冶田:団体というのは、ファンや関係者の皆さんがいて初めて成り立つものです。だからこそ、見ていて楽しい、応援したいと思ってもらえる存在でありたいですね。会員たちも皆、本質的には応援されながら活動したいと思っているはずです。麻雀に真摯に向き合いながら、その魅力や楽しさもきちんと伝えられる団体でありたい。
 これまで培ってきた協会の良さを残しつつ、より広く支持していただける団体を目指していきますので、これからも日本プロ麻雀協会をよろしくお願いいたします。

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