エースの斬り口 目指せ頂点へ(RMU・谷井茂文)

RMUのトップリーグ「令昭位戦A1リーグ」で戦うSS級ライセンス・谷井茂文プロの戦術論

第5回『フォーム』と『場況読み』|エースの斬り口 目指せ頂点へ

今号では、RMUリーグ第4節で成功した一局を紹介します。 を切ってリーチするとダブルリーチ(以降はダブリー)です。 皆さんならどうしますか? ◆序盤の愚形テンパイは外す ダブリーをしないともったいないと感じる方もいるかもしれませんが、自分のフォームはあくまでもツモアガリを目指すことが基本です。 ダブリーの2ハンはリーチとツモで補うイメージで、テンパイを外して好形テンパイを目指します。 『テンパイが序盤でツモ回数が多いから愚形でもリーチする』のではなく、『序盤でツモ回数が多いから好形テンパイに組み直す時間があるのでテンパイを外す』といった考え方です。それが2ハンのダブリーでも変わりません。 あくまでも僕のフォームはツモアガリを目指すことなのです。 愚形でもリーチをすることで他家に対応させるといった戦術もありますが、僕の麻雀ではあまりその戦術は用いません。 特に序盤は、出アガリが期待できる字牌が待ちに絡むテンパイや三色や一通のような2ハン役が絡むテンパイ時に限ります。 実戦では打のダマテンとし、好形変化を求めました。 そして5巡目に以下の牌姿になりました。

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第4回 フリテンと『フォーム』|エースの斬り口 目指せ頂点へ

◆打点バランスとは 今回では2015年8月1日に行われたRMUリーグ第4節で失敗した牌姿を使います ドラ1のイーシャンテンですが、皆さんは何を切りますか? テンパイチャンスだけを考えると、ドラ表示牌でが1枚見えているので打ですね。 ◆リャンシャンテンに戻す時とは? この牌姿は、何を切ってイーシャンテンに受けても好形のテンパイになりません。 好形テンパイを組む時に、愚形が2つ残るイーシャンテンはリャンシャンテンに戻すことが基本になります。 打としたらにくっつけば一通も見えますし、にくっつけばピンフの可能性が残るイーシャンテンになります。 ですが、この時は親番なので愚形でも構わないので先制リーチをしたいと考えてしまい、打としてしまいました。 7巡目にはツモで打、そして10巡目にはツモで次の牌姿となりました。 今度はフリテン含みではありますが、好形を残せるイーシャンテンになりました。 ◆フリテンは悪ではない 一般的にはフリテンはロンアガリ出来ないので嫌う人もよくいると思います。 ですが、テンパイ時にその受けが残っていた時に初めてフリテンになる

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第3回『フォーム』と『牌理』のバランス|エースの斬り口 目指せ頂点へ

◆打点バランスとは 今回は『フォーム』と『牌理』のバランスについての話をします。 打牌候補はといったところでしょうか? RMUリーグでの自身の牌姿ですが、が2枚切れていたこともあり僕の選択は打でした。 僕のフォームは、4面子1雀頭を門前でツモアガることを目指す打ち方です。 ですから、通常はを引いたら両面テンパイを逃す打とはしません。 その時は三色のカンチャンやシャンポンでリーチしようという、完全に打点バランスを意識した思考になっていました。 実際に345の三色が見えなければが2枚切れていても打とすることが多いのです。 ◆古久根プロの教え 「打点バランスは取るな」というのが、師である古久根プロの教えです。 とは言っても全く取らない訳ではありません。 打点を意識するあまり手役を追い、上手くバランスを取れずにアガリ逃しをするくらいなら取らない方が良いということです。今回の僕は、打点バランスを上手く取ろうとして良くない選択をしてしまいました。 ◆好形テンパイを組むために愚形テンパイを外す この牌姿では、打としても三色が完全に消える訳で

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第2回「自分のフォームを重視する」|エースの斬り口 目指せ頂点へ

今号は前回の続きです。 この時はドラ表示牌でが1枚見えていたのと、が場に2枚とが場に1枚見えていて、ソウズの下目が安い状況。相手の手牌進行を遅らせるためにリーチをしたり、役もあるのでテンパイを取ってダマテンの選択を取るのは普通ではあります。が、僕の取った選択は切りのテンパイ外しでした。 場に安いソウズの下目の待ちにすることを考えたテンパイ外しで『フォーム』と『場況読み』を加味した選択です。 ◆『フォーム』とは? 僕が『フォーム』で意識することは、4面子1雀頭を門前でツモることを目指し、瞬間の損得を考えず長期的に良い結果が出る打ち方をすることです。 麻雀は同じ局面は来ませんが似たような局面はやってきます。 が、全ての局でベストな結果が出せる訳ではありません。ですから、長い目で見た時に得な選択をし続けるのです。 よく言われる雀風という言葉が、僕が言うフォームに近いものですね。フォームを重視して結果を残しているトッププロですぐに思い浮かぶのは、最高位戦の村上淳プロです。 ◆『場況読み』とは? 場況読みとは、捨て牌から相手の手牌を想定し、山に残っている牌やその後の展

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第1回「強くなるということ」|エースの斬り口 目指せ頂点へ

麻雀界を読んでいる皆さん、はじめまして。RMU所属の谷井茂文と申します。 戦術論を僕に書いてほしいと編集部からオファーが来て、今パソコンに向かっている最中ですが、皆さんのご期待に添えるか不安で仕方ないというのが正直な気持ちです。 もちろん、僕が持っている知識や考え方を全てこのコーナーで紹介していきますので、皆さんに僕の連載を読むのが楽しみと言って頂けるように精一杯頑張りたいと思います。 今回は第1回ということで、自己紹介がてら僕のことを話し、少しでも『谷井茂文』に興味を持ってもらえたら幸いです。 師匠・古久根英孝プロとの出会い 僕がまだアマチュアの頃、当時最高位戦日本プロ麻雀協会にいてトッププロとして有名だった古久根英孝プロ(ノンラス打法と呼ばれた打ち筋で最高位を3期獲得)が開催していた私塾『古久根塾』の門を叩きました。 そこで古久根プロの麻雀に接するうちに、その圧倒的強さと論理的な麻雀に憧れを抱くようになり、その背中を追いかけるために最高位戦に入会したのがプロになったきっかけでした。 入会して2年経った時にRMUが創設され、古久根プロが移籍すると同時に、RMUに移籍しまし

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